【図解でわかる】混合診療とは
混合診療(こんごうしんりょう)とは
混合診療(こんごうしんりょう)とは、保険診療として認められている治療と保険診療で認められていない治療をいっしょに行うことです。
混合診療はいわゆる通称で、正式には「保険診療と保険外診療の併用」といいますが、ほとんど同じ意味です。
厚生労働省は、原則として混合診療を禁止しています。
原則ということは、もちろん例外があり、例外として保険診療といっしょにできる自由診療は、
- 先進医療をはじめとする評価療養
- 差額ベッド代や大病院の初診をはじめとする選定療養
の2つだけです。(評価療養と選定療養については、別の記事で説明します)
この2つ以外の自由診療を保険診療といっしょにした場合は、保険診療分も全額自己負担となります。
ええ!? なんで全額自己負担なんかになるん?
混合診療が広まってしまうのを防ぎたいんだよ
そもそも、なんで混合診療を認めてないん?
国は、混合診療を解禁してしまった先の行きつく未来を心配して禁止しているんだよ
どんな未来?
これから説明していくよ!
- 保険診療として認められている治療と、保険診療として認められていない治療を併用すること
- 原則として、混合診療は禁止されている
- つまり、保険診療+自由診療=禁止ってこと!
- 例外は、以下の2つ
- ① 先進医療をはじめとする評価療養
- ② 差額ベッド代や大病院の初診をはじめとする選定療養
なぜ混合診療が禁止されているのか?3つの理由
国は、なぜ混合診療を禁止しているのでしょうか?
その理由を理解するために、「もし混合診療が解禁したら…?」のIF世界を想像してみます。
① 患者さんが支払うお金が増える未来がくるかもしれない
このお薬は、ハイレベルで質のいい○○国の△△社の作った原材料だけを使っているので高いですけど、安全性が高いですよ!
自費診療になりますけど、絶対におすすめです!保険で使えるお薬は、正直あまり質が高いものとはいえなくて…
このようにお医者さんに言われたら、あなたはどうしますか?
自費診療で高いお金を払って良いお薬を使いますか?
保険診療で必要最低限のお薬を使いますか?
まったく想像できひんのやけど、良い薬を保険で安く使いたいに決まってるやん
そう? 歯医者さんでセラミックは保険適用外って言われたことない?
あるわ! なるほど、そういうことか!
混合診療を解禁すると、自由診療の範囲がどんどんと拡大され保険適用される治療が必要最低限となった結果、患者さんの金銭的な負担が増えるかもしれない。
これが混合診療を禁止している1つ目の理由です。
② 科学的根拠のない民間療法があふれて、患者さんが混乱する未来がくるかもしれない
このお薬は、中国で古くから伝わる漢方なんです。
日本の保険診療で販売されている漢方薬は、ほとんど効能を抑えたもので、本当の効果は得られないんですよ。
このお薬がおすすめです。このお薬を投薬した方は妊娠されているので…ただ、保険適用外なので自費診療になるんですが…
どうしても子どもが欲しい!とがんばって妊活しているときに、こう言われたらどうでしょう?藁にもすがる思いで掴みたくなる人は多いのではないでしょうか。
科学的根拠があれば、保険適用になってるはずやもんな
今だって保険適用外の治療はいろんなものがあるよね?
- 美容整形、美容皮膚科
- 歯の矯正
- 歯のホワイトニング
- 眼のレーシックやICL手術
自由診療が増えると情報があふれて、どんな手技・手術がいいのか、適正価格はどのくらいなのか、患者さんが判断するのがむずかしくなる可能性があるってことなんだよ
むずかしいなぁ~
③ お金持ちと貧乏な人で受けられる医療格差が広がる未来がくるかもしれない
混合診療を解禁したら、多くの病院が儲けるために高級路線にシフトし、その結果、保険診療を行う病院が減ってしまうかもしれません。
その結果、お金持ちと貧乏な人で受けられる医療格差が広がってしまう可能性があります。
これは意味がわからん!
美容のレーザー脱毛みたいに市場原理で安くなっていくんちゃうの?
あまーい!
ホテルみたいな産婦人科があることは知ってる?
ネットで見たことあるわ!
病院も医師や看護師にお給料を出さなきゃいけないし、儲けなきゃいけない。
混合診療が解禁された結果、リッチできれいでコンシェルジュがいるような高級路線の病院ばっかりになったらどうする?
そのリッチなサービスはもちろん自費診療だよ!
鶏やがワシは、一人でヒヨ娘を育ててんのや!
そんなカネがかかる病院には行かれへん!
お医者さんも看護師さんもお給料がいいところで働きたい。
今でも、お医者さんや看護師さんがいなくて困っている地方の田舎もある。
保険診療をやっている病院のお給料が低い
→いい人材が集まらない
→質の低下
こんなこともあり得る話なんだ!
医療崩壊や!
以上、3つの理由から国は混合診療(保険診療と保険外診療の併用)を原則禁止しているのです。
「もし混合診療が解禁したら…?」のIF世界を想像してみると、なぜ禁止されているのかが理解することができます。
逆にいうと、混合診療が認められている例外は、これらのIF世界にならないように関係者間で調整しながら、慎重に進められているといえます。
実務や資格試験で重要になるのは、混合診療が認められる例外のほうなので、別の記事で開設しますね!
混合診療が認められる例外
みんなだいすき原則!原則といえば、例外がある!
そう! さすが、鶏さんもわかってきたね!
例外をちゃんと説明すると、ブログ1記事分(4,000文字以上)になってしまいます。
なので、
- 混合診療が認められる例外は、2種類ある
- 評価療養:先進医療、治験、お薬や医療機器などの適応外使用など
- 選定療養:歯のセラミック、大病院の初診、差額ベッド代など
- 評価療養は、健康保険として認められるかどうか「評価」するもの
- 選定療養は、保険としては認めないと決めたもの
ということを流し読みしておけば、オッケーです!
① 評価療養
保険適用するかどうか「評価」を行うために混合診療を認めて、保険診療の申請のためのデータにします。
- 先進医療
- 医薬品、医療機器、再生医療等製品の治験に係る診療
- 薬事法承認後で保険収載前の医薬品、医療機器、再生医療等製品の使用
- 薬価基準収載医薬品の適応外使用
(用法・用量・効能・効果の一部変更の承認申請がなされたもの) - 保険適用医療機器、再生医療等製品の適応外使用
(使用目的・効能・効果等の一部変更の承認申請がなされたもの)
② 選定療養
選定療養は、評価療養とは異なり、保険適用を前提としません。
保険を適用せず、自由診療として患者に金銭的な負担を求めることで、患者の行動や傾向を変えたいときに政策として使われることもあります。
- 特別の療養環境(差額ベッド)
- 歯科の金合金等
- 金属床総義歯
- 予約診療
- 時間外診療
- 大病院の初診
- 小児う触の指導管理
- 大病院の再診
- 180日以上の入院
- 制限回数を超える医療行為
まとめ
いかがでしたか?
- 保険診療として認められている治療と、保険診療として認められていない治療を併用すること
- 原則として、混合診療は禁止されている
- つまり、保険診療+自由診療=禁止ってこと!
- 例外は、以下の2つ
- ① 先進医療をはじめとする評価療養
- ② 差額ベッド代や大病院の初診をはじめとする選定療養
混合診療とは何か、なぜ原則禁止されているのかを腹落ちできていれば、評価療養や選定療養についてもしっかり理解することができるでしょう。
今後、日本において混合診療が進まないことを祈るばかりです。