保険診療と自費診療(自由診療)の違いとは?

病院に行ったら、なんでも保険が使えるんとちゃうんか?

それが違うんだよ!病院で受けられる医療には「保険診療」と「自費診療(自由診療)」があるんだ!

じひしんりょう?じゆうしんりょう?
なんやそれ、ややこしいのう…

「保険請求の流れ」の記事でも予告してたテーマだよ!
今日はしっかり違いを整理していこう!
- 保険診療
=公的医療保険(健康保険)が適用され、医療費の1~3割の自己負担で受けられる診療のこと - 自費診療(自由診療)
=医療費の全額(10割)を自分で支払う診療のこと - 混合診療の禁止
=保険診療と自費診療は、原則として同じ受診の中で混在されることができない
保険診療とは
保険診療とは、公的医療保険(健康保険)が適用される診療のことです。
診療内容ごとに国(厚生労働省)が定めた「診療報酬点数」にもとづいて医療費が計算され、患者は医療費のうち1〜3割(年齢や所得によって異なる)を窓口で支払います。残りの7〜9割は、患者が加入している健康保険の保険者が負担します。
保険診療で受けられる医療サービスの範囲(保険適用の範囲)は、国によって定められています。詳しくは【超基本】健康保険(公的医療保険制度)とは何かや【図解でわかる】診療報酬点数とはもあわせてチェックしてみてください。


自費診療(自由診療)とは
自費診療(自由診療)とは、公的医療保険が適用されない診療のことです。医療費の全額(10割)を、患者自身が支払います。
自費診療は、保険診療のように国が点数や価格を定めているわけではないため、医療機関が自由に金額を設定できるという特徴があります。同じ治療でも、病院やクリニックによって値段が異なることがあるのはこのためです。

自分で全部払わなあかんのは辛いのう…でも値段を自由に決められるってことは、めっちゃ高くなることもあるってことか?

そのとおり!市場原理によって安くなるケース(例 レーザー脱毛、二重の埋没手術など)もあるけど、大体は高くなるよね。だから自費診療を受けるときは、事前に金額をしっかり確認することが大切なんだよ。
自費診療の対象になる主な例
- 美容目的の治療(美容整形、美容皮膚科、脱毛など)
- 歯科の自由診療(インプラント、審美目的の歯科矯正・ホワイトニングなど)
- 先進医療のうち、保険適用外の技術・薬剤を使う治療の一部
- 予防接種(インフルエンザワクチンなど、法定接種以外のもの)
- 健康診断・人間ドック
- 正常な妊娠・出産にかかる費用(正常分娩は病気ではないため、原則保険適用外)
病気やケガの治療を目的としない、あるいは治療の必要性・有効性が確立していないなどの理由から、公的医療保険の対象になっていません。
保険診療と自費診療の違い(比較表)
| 項目 | 保険診療 | 自費診療(自由診療) |
|---|---|---|
| 公的医療保険の適用 | あり | なし |
| 自己負担割合 | 1〜3割 | 10割(全額自己負担) |
| 医療費の決め方 | 国(厚生労働省)が診療報酬点数として決定 | 医療機関が自由に設定 |
| 医療機関による価格差 | ほぼない(全国一律) | ある(施設によって異なる) |
| 主な対象 | 病気・ケガの治療 | 美容目的、予防、保険適用外の技術など |
【原則】保険診療と自費診療は原則混在できない
日本では、1回の診療の中で保険診療と自費診療を組み合わせること(混合診療)は、原則として禁止されています。混合診療を行うと、本来は保険診療として扱われるはずの部分まで含めて、診療全体が自費診療(全額自己負担)として扱われてしまいます。

え!ほんまか!ほんの一部だけ自費のもんを使っただけやのに、全部自腹になるってことか!?

そうなんだよ。だからこそ「混合診療の禁止」はとても重要なルールなんだ。ただし、先進医療や評価療養など、一定の条件を満たせば例外的に保険診療と自費診療の併用が認められる仕組みもあるよ!

何でそないなことなってんの!?
なぜ、混合診療が禁止されているのかは、【図解でわかる】混合診療とはで詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。

【例外】認められている混合診療
日本の公的医療保険では原則として「混合診療」は禁止されていますが、例外も認められています。それが「保険外併用療養費制度」です。
1. 評価療養(将来的に保険適用をめざす医療)
評価療養とは、医療技術の発展を目的とした有効性や安全性を国が評価している途中の医療のことです。
先進医療A:
医薬品や医療機器の未承認・適応外使用を伴わず、人体への影響が小さく比較的安全性が確立されている技術
先進医療B:
未承認や適応外の薬・医療機器を使用したり、実施環境や技術の効果についてより慎重な評価が必要とされる技術
治験:
新しい医薬品や医療機器の製造販売承認を得るための臨床試験
- 医薬品の適応外使用:
すでに保険診療として承認されている薬を、別の疾患に対して一定の条件に基づき使用するもの - 保険未収載品の活用:
薬事承認はされているが、まだ保険適用リスト(薬価基準)に載っていない医薬品や医療機器の使用

医薬品の適応外使用の中でも「副作用」の方が注目されて大ヒットしたものがあるよ!
バイアグラ:
心臓の血管を広げる(狭心症)→ED(勃起不全)
ミノキシジル:
血圧を下げる(高血圧)→AGA(薄毛治療)

なるほど~!そんなことあんねや!
どっちもオトコの味方やん!副作用万歳やん!
2. 患者申出療養
がんや難病などで、国内未承認の薬などを使いたいという患者の思いに応えるために2016年に創設された制度。
- 未承認薬や適応外薬を活用した治療:
患者自身が主治医と相談して国に申し出を行い、安全性や有効性が審査・承認された治療
3. 選定療養
患者の快適性や利便性のための選択として、 患者自身が追加の費用を負担して「選択」する追加サービスや特別な環境のこと。
- 差額ベッド代(特別療養環境室):
個室や設備が充実した少人数部屋を希望した場合の追加費用 - 大病院の初診・再診:
紹介状を持たずに、特定機能病院や地域医療支援病院を受診した場合の「特別の料金」 - 予約診療・時間外診療:
病院が独自に定めた予約料や、通常の診療時間外の受診 - 制限回数を超える医療:
保険で定められた上限回数(日数)を超えるリハビリテーションなど - 180日以上の長期入院:
一般病棟等で180日を超えて入院する場合の入院料の一部 - 歯科の特別治療:
金属床総義歯(特別な素材の入れ歯)や、保険適用外の材料(金合金など)を使った治療
これらの制度を利用する場合、「保険適用の診療部分」については通常通り1〜3割負担となり、「保険外の診療・サービス部分」のみを全額自己負担として併用することが合法的に認められています。

なんか評価療養とか選定療養とかどっちがどっちで何が何やら、わからへんくなってきた…

評価療養は、今後、保険適用されるかどうか評価中の療養サービス!
一方、選定療養は、保険適用される未来はない、患者が受けるかどうか選んで決める療養サービスって覚えよう!
今日のポイント
- 保険診療は公的医療保険が適用され、自己負担は1〜3割
- 自費診療(自由診療)は保険が適用されず、医療費は全額(10割)自己負担
- 自費診療の価格は医療機関が自由に決められるため、施設によって金額が異なる
- 保険診療と自費診療は原則として同じ診療の中で混在できない(混合診療の禁止)
まとめ
「保険診療」と「自費診療(自由診療)」は、公的医療保険が使えるかどうかで大きく異なります。特に、
- 両者を組み合わせる「混合診療」は原則禁止されていること
- 例外として認められているのが「保険外併用療養費制度」であること
- 保険外併用療養費制度は、大きく評価療養、選定療養、患者申出療養の3つに大別されること
という3つは、医療事務として押さえておきたい重要なルールです。
あわせて、保険請求全体の流れを知りたい方は【初心者向け】保険請求の流れを図解で解説!もチェックしてみてください。


